コスモ石油株式会社(代表取締役社長:森川桂造)及び当社100%子会社であるコスモエネルギー開発株式会社(代表取締役社長:日下部功 以下、「コスモエネルギー開発」)は、本日開催の取締役会において、コスモエネルギー開発が保有するアブダビ石油株式会社(以下、「アブダビ石油」)の株式を新設分割により設立する会社に承継させる(以下、「本会社分割」)と同時に、当該新設会社の一部持分を当社の戦略的包括パートナーであるCompania Espanola de Petroleos, S.A.U.(カンパニーア・エスパニョーラ・デ・ペトローレオス エス・エー・ユー)の完全子会社であるCEPSA International B.V.(以下、総称して「CEPSA」)に譲渡すること(以下、「本株式譲渡」、また一連の取引を総称して「本件取引」)を決議し、コスモエネルギー開発は本日契約を締結しましたので、下記の通りお知らせいたします。
なお、本会社分割は、連結子会社による新設分割であるため、開示事項及び内容につきましては一部省略して開示しております。
記
I ) 本件取引の目的
(1) 本件取引の背景
国内石油精製各社は継続する国内石油製品需要の減退を受け、本邦石油精製事業を取り巻く足許の環境は大変厳しい状況下にあると認識しております。かかる中、当社は2013年4月よりスタートした「第5次連結中期経営計画」において一点目の基本方針として「石油精製販売事業における収益力の回復」を掲げ、坂出製油所の全ての精製装置の停止や千葉における極東石油工業合同会社とのアライアンスなど着実に前進しております。
一方で、現在の激変する経営環境において、石油開発事業は当社事業ポートフォリオの中でも安定した収益の柱であると共に、当社が半世紀に亘る年月をかけて構築してきた当社固有の強みを有する事業領域であり、更なるグローバル競争力の強化と飛躍的な収益拡大に向け取り組んでおります。
また「第5次連結中期経営計画」の三点目の基本方針である「IPIC・HDOとのアライアンス強化」に基づき、当社とCEPSAとの間で石油関連事業に関する戦略的包括提携合意契約を締結しており、共に International Petroleum Investment Company(以下、「IPIC」)グループの一員同士として相互の事業機会の発掘と事業化に向けた検討を進めています(既報:2014年1月21日リリース「石油関連事業に関する戦略的包括提携合意契約の締結について」ご参照(http://www.cosmo-oil.co.jp/press/p_140121/))
中でも石油・ガス開発事業においては共同で新鉱区獲得や事業拡大に注力していくことで合意しており、石油・ガス開発作業部会を設置の上、同事業分野での共同事業の検討や技術ノウハウ共有の検討を進めております。このような戦略的提携関係の中、この度当社及びCEPSAの両社は、コスモエネルギー開発が新設分割により設立する新設会社にアブダビ石油株式を承継させた上で、同新設会社株式の20%持分をCEPSAに譲渡することといたしました。
(2) 本件取引の意義
コスモエネルギー開発の新設子会社株式のCEPSAへの一部譲渡案件は、上記記載の戦略的提携関係の強化・拡大策に沿うものであり、当社の第5次連結中期経営計画の基本方針の1つである「IPIC・HDOとのアライアンス強化」の一環となるものです。
アブダビ石油は今後も引き続きオペレータとして開発と生産を推進してまいりますが、2016年度の生産開始を目指す、既存3油田と同程度の生産量を見込む大規模プロジェクトであるヘイル油田の開発を控えております。コスモエネルギー開発とCEPSAは、同プロジェクトを成功裡に完了させ、アブダビでのビジネスを一層拡大させるため、CEPSAを資本面でもパートナーとして迎え入れることを合意し、本件取引に至りました。
約半世紀に亘る海上油田の開発経験を持つ当社と、北アフリカや南米等における陸上油田・ガス田のオペレータとしての生産・開発実績と豊富な技術を保有するCEPSAが組み、アブダビでの開発事業へ参画することにより、本プロジェクトを更に一層着実に遂行させると共に、当社とCEPSAの更なる提携関係の強化・拡大にも寄与するものと考えています。
また本件取引は、当社及びCEPSA双方の株主であるIPICによるコスモ石油の開発事業に対する一層のコミットメントを示すものと考えています。今後も当社は、アブダビ政府関係者をはじめとする同国関係者及びその他のプロジェクト関係者の理解と協力を得ながら、ヘイル・プロジェクトの早期立ち上げに引き続き取り組んでまいります。また、当社・CEPSAは、アブダビファミリー企業として、アブダビ国営石油会社(ADNOC)とのワークショップを通じて新規権益獲得の検討をはじめ、硫黄、原油マーケティング、石油化学事業での営業支援等に関する議論に集中的に取り組んでおります。
コスモエネルギー開発は、アブダビ石油の他に、カタール石油開発株式会社(以下、「カタール石油開発」)、合同石油開発株式会社(以下、「合同石油開発」)を加えた3つの操業会社を通じて、中東地域において石油開発事業を展開しています。第5次連結中期経営計画(2013 -2017年度)では、ヘイル新鉱区での生産開始、産油国との関係を活かしたポートフォリオの拡充を図り、当社グループの中東における更なる石油開発事業の収益拡大と収益性の向上が見込まれています。
また、当社は本年1月に当社の石油開発事業における原油埋蔵量評価結果を公表しておりますが、(既報:2014年1月21日リリース「石油開発事業における原油埋蔵量評価結果の公表について」ご参照(http://www.cosmo-oil.co.jp/press/p_140121_2/)今後も同事業の情報開示体制の強化を引き続き実施していくとともに、事業価値向上に努めてまいります。
II ) 本件取引の概要
(1) 取引形態
2014年11月28日を目途に、当社100%子会社であるコスモエネルギー開発が保有するアブダビ石油株式等を、新設分割により設立する新設会社に承継します。また、コスモエネルギー開発は新設会社の株式の20%相当を2014年12月12日(予定)にCEPSAへ譲渡いたします。

(2) 本件株式譲渡価格
新設されるコスモエネルギー開発子会社株式価値の20%持分相当の株式譲渡価格は、246億円(※1)(217百万米ドル(※2))となる予定です。これは世界有数の独立した埋蔵量評価会社であるGaffney, Cline & Associatesによって評価された新会社に帰属する原油埋蔵量、生産計画及び利益計画等を元に両社がそれぞれDCF分析を実施し協議を行った上で合意された株式価値となります。なお、新設されるコスモエネルギー開発子会社の全体価値は、譲渡価格に基づき1,228(※1)億円(1,086百万米ドル(※2))となります。
(※1)1米ドル=113円(足許状況:以下同様)で換算した試算値。
(※2)同譲渡価格は株式譲渡予定日までに一定の調整を踏まえた額となる予定です。
(3) 本株式譲渡の相手先の概要(2014年11月6日現在)
名称 | CEPSA International B.V. | |
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所在地 | オランダ ロッテルダム | |
代表者の役職・氏名 | Director to the Board: CEPSA UK, Ltd. Representative: Carlos Villanueva; Director to the Board: CEPSA QUIMICA NETHERLANDS, B.V. Representative: Jose E. Aranguren |
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事業内容 | 総合石油事業 | |
設立年月日 | 1991年7月18日 | |
大株主及び持株比率 | Compania Espanola de Petroleos, S.A.U. 100% | |
上場会社と 当該会社との 間の関係 |
資本関係 | なし |
人的関係 | なし | |
取引関係 | なし | |
関連当事者への 該当状況 |
当社のその他の関連会社であるIPICの100%孫会社となります |
(4) 譲渡株式数、譲渡価格及び譲渡前後の所有株式数の状況
異動前の所有株式数 | 10,000株(所有割合100%) |
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譲渡株式数 | 2,000株(所有割合20%・譲渡価格217百万米ドル) |
異動後の所有株式数 | 8,000株(所有割合80%) |
(5) 会社分割及び株式譲渡の日程
新設分割計画承認取締役会決議日 (コスモエネルギー開発) |
2014年11月6日 |
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株式譲渡契約承認取締役会決議日 (コスモエネルギー開発) |
2014年11月6日 |
株式譲渡契約締結日 (コスモエネルギー開発及びCEPSA) |
2014年11月6日 |
臨時株主総会決議日 (コスモエネルギー開発) |
2014年11月25日(予定) |
新設分割予定日 (効力発生日) |
2014年11月28日(予定) |
株式譲渡予定日 | 2014年12月12日(予定) |
III ) 本件取引による当社業績への影響
本株式譲渡により、2014年度連結決算において、関係会社株式売却益として現段階で 約140億円の特別利益を計上する見込みです。なお、本譲渡により得られる資金は主に当社グループの内部留保及び事業成長機会への投資へ使われる予定です。
IV ) 当社の石油開発事業及びアブダビ石油の概要
1. 概要
当社はコスモエネルギー開発を通じて、アブダビ石油、カタール石油開発及び合同石油開発の3社の株式をそれぞれ保有し、中東地域を中心として石油開発事業に従事しています。当社グループは、中東地域で日系企業がオペレータとなる会社としては最大規模の原油生産量を誇り、約半世紀に亘る海上油田の開発経験を有しています。
中でもアブダビ石油における事業は最大規模であり、当社は1969年に試掘1号井で出油に成功し、1973年から商業生産を開始しました。現在、ムバラス油田、ウム・アル・アンバー油田、ニーワット・アル・ギャラン油田の3油田から生産される原油をブレンドしムバラスブレンド原油として、全量を当社及びJX日鉱日石エネルギー株式会社に販売しております。
2012年12月に、現在操業中の3油田と隣接するヘイル油田の利権についてアラブ首長国連邦アブダビ首長国最高石油評議会(SPC)との間で30年間の協定を締結(既報:2012年12月11日リリース「アブダビ石油株式会社の新利権協定発効のお知らせ」ご参照(http://www.cosmo-oil.co.jp/press/p_121211/))しています。新鉱区は、既存3油田と同程度の生産量を見込んでおり、現在は2016年のヘイル油田の生産開始を目指して開発を進めております。
2. 原油埋蔵量評価の結果(当社権益分)(※3)
(2013年12月31日現在) |
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確認埋蔵量(Proved Reserves)(※4) | 107.0 |
推定埋蔵量(Probable Reserves)(※5) | 98.9 |
確認埋蔵量と推定埋蔵量の合計 (Proved + Probable) |
205.9 |
注:上記原油埋蔵量には新鉱区であるヘイル油田を含んでいます。
(※3)原油埋蔵量評価の結果について
当社の将来の収益へ及ぼす影響が大きいと考えられるアブダビ石油の埋蔵量につきましては、原油埋蔵量に関する独立評価会社としては世界有数の会社であるGaffney, Cline & Associates(以下、GCA)による第三者評価を受けております。同評価は、当社関連会社が独自に実施した埋蔵量の自社内部評価をGCAが確認する形で実施されております。この評価は、SPE(Society of Petroleum Engineers 石油技術者協会)のOil and Gas Reserves Committee(原油・ガス埋蔵量委員会)が作成し、WPC(World Petroleum Congress 世界石油会議)、AAPG (American Association of Petroleum Geologists 米国石油地質技術者協会)及びSPEE (Society of Petroleum Evaluation Engineers 石油評価技術協会)により検討・共同策定された基準(2007 PRMS(Petroleum Resources Management System))に従い、実施されております。
カタール石油開発及び合同石油開発の埋蔵量評価に関しては、両社が独自に実施した自社評価となります。なお、原油埋蔵量評価は、当社が埋蔵量又は原油回収量を保証するものではありません。
(※4)確認埋蔵量とは
確認埋蔵量とは、地質学的、工学的データの解析により、ある時点以降に既知の貯留層から現状の経済条件、操業方法と規制の下で商業的に回収されることが合理的確実さをもって予想される石油の量をいいます。また、確率論的手法が用いられるならば、確認埋蔵量が回収できる確率が、90%以上なければならない、とされています。(SPE PRMS 2007年3月による定義)
(※5)推定埋蔵量とは
地質学的、工学的データの解析により、おそらく回収できると考えられる未確認埋蔵量をいいます。また、確率論的手法が用いられるならば、確認+推定埋蔵量が回収できる確率が、50%以上なければならない、とされています。(SPE PRMS 2007年3月による定義)
3. 原油生産実績
2014年度上期(2014年1月~6月)の平均原油生産量は、アブダビ石油、カタール石油開発及び合同石油開発の3社合計で約37千バレル/日となり、当社権益分の平均原油生産量は約22千バレル/日となっています。(参考:可採年数約30年)
V ) 本会社分割について
1. 会社分割の要旨
(1) 会社分割の日程
「II ) 本件取引の概要」の「(5) 会社分割及び株式譲渡の日程」をご参照下さい。
(2) 会社分割の方式
コスモエネルギー開発を分割会社とし、新設会社を承継会社とする新設分割です。
(3) 株式の割当て
承継会社は普通株式10,000株を発行し、そのすべてをコスモエネルギー開発に割り当てます。なお、コスモエネルギー開発は、本会社分割の効力発生後、本承継会社から本会社分割に伴い割当交付された株式の内2,000株をCEPSAに譲渡します。
(4) 会社分割に伴う新株予約権及び新株予約権付社債に関する取扱い
コスモエネルギー開発は新株予約権及び新株予約権付社債を発行しておりません。
(5) 会社分割により減少する資本金等
本会社分割によるコスモエネルギー開発の資本金等の減少はありません。
(6) 承継会社が承継する権利義務
承継会社は、2014年11月6日付「新設分割計画書」に定められた事業に関して有する資産、負債、契約上の地位等の権利義務を承継します。
(7) 債務履行の見込み
承継会社に承継される債務はございません。
2. 会社分割の当事会社の概要
分割会社 |
承継会社 |
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名称 | コスモエネルギー開発株式会社 | コスモアブダビエネルギー開発株式会社 | |
所在地 | 東京都港区芝浦1-1-1 | 東京都港区芝浦1-1-1 | |
代表者の役職・氏名 | 代表取締役社長 日下部 功 | 代表取締役社長 日下部 功 | |
事業内容 |
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資本金 | 10,000百万円 | 4百万円 | |
設立年月日 | 2014年2月28日 | 2014年11月28日 (効力発生日) |
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発行済株式数 | 1,000株 | 10,000株 | |
決算期 | 12月 | 3月 | |
従業員数 | 18名 | 4名 | |
大株主及び持株比率 | コスモ石油株式会社100% | コスモエネルギー開発株式会社100% | |
当事会社 間の関係 |
資本関係 | 当社の100%出資の連結子会社 | 本会社分割の効力発生日に、当社の連結子会社であるコスモエネルギー開発(分割会社)が新設会社の株式を100%保有いたしますが、その後当該株式のうち20%をCEPSAへ譲渡いたします。 |
人的関係 | 従業員は当社から出向しております。 | 従業員は当社から出向する予定です。 | 関連当事者への 該当状況 |
当社の関連当事者に該当いたします。 | 当社の関連当事者に該当いたします。 |
設立時の 財政状態 (※6)(※7) |
コスモエネルギー開発株式会社(分割会社) |
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決算期 | 12月 |
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純資産 | 14,309百万円 |
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総資産 | 14,340百万円 |
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1株当たり純資産 | 14.34百万円 |
(※6)コスモエネルギー開発株式会社(分割会社)は2014年2月28日に設立されており決算情報がないため、設立時の財政状態のみ記載しております。
(※7)分割会社及び承継会社の概要は、株式譲渡予定日(12月12日)以降も、変更はありません。
3. 分割する事業部門の概要
(1) 分割する部門の事業内容
分割会社の事業のうち、アブダビ石油の株式保有を通じたアブダビ首長国での石油開発に係る事業。
(2) 分割する資産、負債の項目及び金額(2014年2月28日現在の帳簿価格を元に試算)
資産 |
負債 |
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項目 |
帳簿価額 |
項目 |
帳簿価額 |
流動資産 |
- 百万円 |
流動負債 |
- 百万円 |
固定資産 |
5,160百万円 |
固定負債 |
- 百万円 |
合計 |
5,160百万円 |
合計 |
- 百万円 |
4. 今後の見通し
本件取引による当社業績への影響については「III ) 本件取引による当社業績への影響」をご覧下さい。

【写真】 左から:Mikel Rodriguez、Luis Travesedo、Juan Vera(CEPSA)
森川桂造、日下部功、桐山浩
【参考: アブダビ石油の概要(2014年11月6日現在)】
社名 | アブダビ石油株式会社 |
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設立年月日 | 1968年1月17日 |
代表者 | 代表取締役社長 西 聡 |
株主構成(※8) | コスモエネルギー開発株式会社 64.1% JX日鉱日石開発株式会社 32.0% 関西電力株式会社 1.8% 中部電力株式会社 1.8% |
概要 | 1969年に試掘1号井で出油に成功、1973年から商業生産を開始。現在、ムバラス油田、ウム・アル・アンバー油田、ニーワット・アル・ギャラン油田の3油田から生産される原油をブレンドしムバラスブレンド原油として、全量を当社及びJX日鉱日石エネルギーに販売。2011年2月に、現在操業中の3油田と隣接するヘイル油田の利権についてアラブ首長国連邦アブダビ首長国最高石油評議会(SPC)との間で30年間の協定を締結。新鉱区は、既存3油田と同程度の生産量を見込んでいる。 |
(※8)自己株式控除後の持分比率
【参考: アブダビ石油が保有する権益所在地】

【本件に関するお問い合わせ先】
コスモ石油株式会社 経営企画ユニット コーポレートコミュニケーション部 広報室 前田・潮田
電話 03-3798-3101 FAX 03-3798-3841