第2【事業の状況】

 

1【業績等の概要】

(1)業績

当連結会計年度におけるわが国経済は、依然としてデフレ傾向から脱却できないものの、中国の持続的経済成長や米国の景気回復に支えられ、好調な輸出・企業業績の改善・設備投資の増加に加え、個人消費や雇用情勢にも明るさが見られ、総じて緩やかな成長を続けました。

原油価格は、イラク情勢の緊迫化に伴ういわゆる戦争プレミアムが剥落し、期初において1バーレル23ドル台であったドバイ原油は、その後のOPECの減産実施や世界経済の好転、米国の石油製品在庫が低水準で推移したことなどにより期を通じて上昇基調となり、期末には30ドル台となりイラク戦争開戦時を上回る価格水準となりました。

また、為替相場は、期初に1ドル121円台をつけ、8月まで比較的小幅な動きで推移したものの、本邦通貨当局の為替介入が手控えられた9月末には1ドル110円台まで急騰しました。その後、米国の貿易赤字が拡大していることに加え、中東を中心としたテロの多発、また、日本経済の民需中心の緩やかな回復見込みなどが円買い材料となり、期末最終日には3年ぶりの103円台となりました。

このような経営環境の下、当社は「連結中期(3ヵ年)経営計画」の初年度目標を達成するため、上流から下流まで全般にわたり「価値創造」と「合理化」による経営体質の強化を目指し、『企業価値最大化』を追求してまいりました。

こうした経営活動の中、連結の経営成績と致しましては、売上高は1兆9,163億円となり前期比135億円(0.7%)の増収、経常利益は195億円となり前期比7億円(3.6%)の増益、当期純利益は82億円となり前期比48億円(138.7%)の増益となりました。

なお、各セグメントの営業利益の状況は以下の通りです。

 

[石油事業]

当連結会計年度における国内の石油製品需要は、ガソリンやC重油については堅調に推移しましたが、暖冬など国内需要減退の影響を受け灯油・軽油及びA重油は減少しました。また、国内の製品市況は、原油価格の上昇傾向の中、コスト転嫁の浸透に努めたことにより昨年に比べ改善されたものの、総じて原油価格の変動に対応した市況を形成するまでには至りませんでした。

石油事業の経営成績としましては、売上高は、石油製品の需要が減少したものの、販売価格の上昇もあり、1兆8,631億円となり前期比305億円(1.7%)の増収となりました。営業利益では、平成15年度を初年度とした「新中期経営計画」に取り組み、その成果として価値創造および合理化が達成でき収益改善に寄与いたしました。また、製品市況の状況が昨年に比べ改善したことなど増益要因がありましたものの、たな卸資産の総平均法による在庫評価の影響で、売上原価を押し上げたことによる減益要因があったことにより180億円となり前期比18億円(10.8%)の増益となりました。

 

[石油開発事業]

石油開発事業においては、原油生産の操業の安定化・高度化に加え自主開発原油比率向上に向け、原油生産量の維持・拡大に努めており、当連結会計年度の経営成績としましては、売上高は316億円となり前期比18億円(△5.2%)の減収、営業利益は75億円となり前期比4億円(△5.3%)の減益となりました。

 

[その他の事業]

不動産施設の売買・賃貸および石油関連施設の工事・リース並びに保険等の事業においては、各事業とも合理化・効率化に努めたことにより、売上高は667億円となり前期比72億円(△9.7%)の減収となるも、営業利益は7億円となり前期比1億円(25.4%)の増益となりました。

(2)キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、1,045億円となり、前連結会計年度末の残高438億円に比し607億円(138.6%)の増加となりました。これには新規連結に伴う資金の増加2億円が含まれております。各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果、資金の増加は1,018億円であり、前連結会計年度に比べ1,288億円キャッシュ・フローが増加いたしました。これには、売上債権やたな卸資産の減少等の資金増加要因に加え、通常連結会計年度末に支払われるべき揮発油税・石油税350億円が、休日の影響で翌連結会計年度の支払となったことによる影響が含まれております。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果、資金の減少は327億円であり、前連結会計年度に比べ199億円キャッシュ・フローが減少いたしました。これは、主に固定資産の取得等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果、資金の減少は77億円であり、前連結会計年度に比べ178億円キャッシュ・フローが減少いたしました。これは、翌連結会計年度における社債償還資金を前倒しで調達する一方、有利子負債の削減に努めたことによるものであります。

 

2【生産、受注及び販売の状況】

(1)生産実績

 当連結会計年度における生産実績を事業の種類別セグメント毎に示すと次のとおりであります。

事業の種類別セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

 

揮発油

223,797

104.66

 

灯軽油

273,011

102.64

石油事業

重油

196,777

107.19

 

その他

61,057

109.08

 

小計

754,643

104.91

石油開発事業

 

2,477

102.99

合計

757,120

104.90

 (注)1 自家燃料は除いております。

2 委託処理分を含み受託処理分は除いております。

3 上記の金額に消費税等は含まれておりません。

 

(2)受注状況

 当連結会計年度における受注状況を事業の種類別セグメント毎に示すと次のとおりであります。

事業の種類別セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高

(百万円)

前年同期比(%)

その他の事業

13,459

64.35

9,589

75.95

 (注) 上記の金額に消費税等は含まれておりません。

 

(3)販売実績

 当連結会計年度における販売実績を事業の種類別セグメント毎に示すと次のとおりであります。

事業の種類別セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

 

揮発油

963,891

101.27

 

灯軽油

410,060

96.00

石油事業

重油

264,455

101.26

 

その他

224,146

117.46

 

小計

1,862,554

101.73

石油開発事業

 

12,949

132.51

その他の事業

 

40,773

65.71

合計

1,916,277

100.71

 (注)1 揮発油の金額には、揮発油税及び地方道路税が含まれております。

2 上記の金額に消費税等は含まれておりません。

 

3【対処すべき課題】

石油業界を取り巻く環境は、国際情勢等の影響による原油価格動向の不透明さに加えて、市況低迷の長期化、環境問題への対応等、依然として厳しい状況が続くものと考えております。コスモ石油グループでは、このような環境認識を踏まえ、中期経営計画(平成15年度〜平成17年度)を策定しております。

中期計画最終年度(平成17年度)の連結経営指標として、経常利益600億円、ROE12%、株主資本比率20%を目標としております。

 以下の中期経営計画の確実な達成・実現により、一層強固な経営基盤を確立することで、お客様・投資家の皆様から支持されるコスモ石油グループを目指してまいります。

 

(1)事業別政策

@石油開発事業 

UAEに拠点を置いたアブダビ石油梶A合同石油開発鰍フ操業の安定化・高度化に加えて、カタールでの商業生産移行等により、さらに石油開発体制の強化を図ってまいります。また平成15年7月にコスモエネルギー開発鰍設立し、コスモ石油グループの石油開発事業を統括する体制を整備いたしました。

 

A石油精製事業 

FCC等の精製設備の高度化による生産付加価値向上や省エネ化・保全費削減などによる精製コストダウンを図ることに加え、調達手段の多様化や製品輸出の強化などによる需給運用の最適化により、当社製油所競争力の強化を図ります。

坂出製油所においては、その機能強化と最適能力を実現するため、発展的縮小を視野に入れ、LNG基地の立地可能性について四国電力鰍ニ共同で検討を進め、今般、坂出製油所内にLNG基地を建設するとともに、四国電力梶A四国ガス鰍ニの共同出資で坂出LNG鰍設立いたしました。

 

B石油販売事業 

直売強化、特約店販売の強化を通じ、質の向上による販売収益力の向上を目指してまいります。そのために、マーケットから選ばれるコスモブランドの強化とその積極的な展開を図ってまいります。まず、お客様ニーズへの対応として、セルフSSの建設を積極的に行うとともに(平成16年3月末 398ヶ所 中期計画最終年度平成17年度 710ヶ所を計画)、カーケア収益の取込みを狙い、当社独自の業態である「Auto B-cle」SSネットワークを構築してまいります。更にお客様の様々なニーズに対応するため、今般コンボストア(コンビニエンスストアにファーストフード店の要素をプラスした店舗)併設型セルフSSの業態開発を、ミニストップ鰍ニ共同で行うことについて合意いたしました。また、現在有効会員数約240万件の「コスモ・ザ・カード」の利便性の更なる向上を図ることでロイヤルカスタマーの拡大を進めてまいります。

 

(2)グループ関連企業

コスモ石油グループ全体の企業価値を高めるために、コスモ石油グループを構成する個々の会社(連結対象会社31社、持分法適用会社43社)の企業力強化に注力しながらも石油事業と連携し密接な関係を維持した経営を図ってまいります。コスモ石油グループの関係会社群は、一層の合理化・効率化に取り組み、当該業界でのトップレベルの収益力の実現を目指します。

 

(3)新規事業 

平成15年7月より、中部電力褐けIPP事業(200千kW)の営業運転を開始しております。また、コージェネレーション設備を利用した電力および熱の供給販売事業を積極的に展開しております。展開にあたっては、先物市場を有効に活用することで長期的な油価変動リスクを解消する「当社独自のノウハウ」を活用し、流通業・工場等の業務用を中心に約20千kWの実績をあげております。

再生可能エネルギーである風力を利用した発電事業について、山形県酒田市では事前調査を実施し、事業化に向けて詳細検討を進めております。

 「JHFC(※)横浜・大黒水素ステーション」の運営を通じ、燃料電池自動車への水素供給、水素製造効率等のデータ取得を行っております。また日産自動車叶サの燃料電池車を導入し、よりお客様の立場に立った水素供給技術の開発を行ってまいります。

   (※)当社も参画する経済産業省が実施する燃料電池自動車に関する実証プロジェクト。

「Japan Hydrogen & Fuel Cell Demonstration」の略。

SAP(経営全領域)導入を自主開発・自主運用した経験で創出された人材をベースに、SAP導入コンサルティング会社である潟潟Aルパートナーズを平成15年4月に設立し、SAP導入コンサルティング事業を新規に展開しております。

 自社で研究・開発を進めてきたALA(5−アミノレブリン酸)事業に本格的に取り組むために、ALA事業グループを新設いたしました。ALAは既に肥料の効果発現促進剤として使用されておりますが、今後は、医薬や動薬など幅広い分野での応用が期待されております。

 

(4)操業安全 

操業事故や労働災害を未然に防止するための危険予知運動、事故事例の水平展開による再発防止策の実施など、従業員一人一人の安全に対する意識を高める活動を展開すると共に、生産活動の全ての業務における安全対策の徹底を図っております。

また、平成15年度は、平成13年から4製油所で展開してきた保安管理強化活動の成果を定着させると共に、更なる自主保安体制の強化・充実を目指すため、自己責任の原則に基づくリスクマネジメント型の安全管理システムを構築し、平成16年度より4製油所にて本格運用を開始致します。

なお、千葉製油所における従業員の労働無災害継続時間は業界No.1を維持しております。(平成15年12月末 5,571日、1,570万時間)

 

(5)環境関連 

「環境」で選ばれるコスモ石油を目指して、平成14年度より「環境中期(3ヵ年)計画<ブーア21>」を導入し、継続的に取り組んでおります。計画の2年目を終え、省資源やグリーン購入等の草の根的な取り組みも、全社的に定着してまいりました。京都議定書の発効を視野に入れた豪州排出権取引やアブダビ石油鰍フゼロフレアプロジェクトのほか、コスモ・ザ・カード「エコ」会員とともに熱帯雨林保全支援や環境教育支援などの地球規模での環境貢献活動を展開し持続可能な社会の実現に寄与してまいります。

石油製品の品質対応は今後とも避けて通ることは出来ないと考えております。環境負荷のより低い製品をより低コストで安定供給するために、当社は自社で開発(※)した高性能脱硫触媒を平成16年5月に千葉製油所軽油脱硫装置に充填することを決定しました。また同触媒を四日市および堺製油所にも充填する方向で検討しております。同触媒を全製油所で使用した場合、大規模な設備投資をせずに、サルファーフリー軽油の製造が可能となり、概ね60億円の設備投資額抑制となります。

(※)新エネルギー・産業技術総合開発機構/石油産業活性化センターのプロジェクトに当社が参加して開発。

 

4【事業等のリスク】

 当社グループの経営成績および財政状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成16年6月29日)現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)需要動向の影響

 当社グループの売上高のうち主要な部分を占めるガソリン・灯油・軽油は、一般消費者の需要動向の影響を強く受けます。また、ナフサは石油化学業界、軽油は運輸業界、重油は電力業界、海上輸送業界等の需要動向の影響を強く受けます。したがいまして経済状況等を受け、需要が変動することにより、当社グループの販売規模に影響を及ぼす可能性があります。

 また、ガソリン・軽油・灯油・重油は、天候等の変化によっても需要が変動するため、同様に当社グループの販売規模に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)原油価格の変動

 原油価格は、需要動向と生産動向により大きく左右されます。需要動向につきましては大消費国であるアメリカ、また経済成長の著しいアジア地域(特に中国)の影響が大きく、生産動向については主にOPEC諸国の増減産の影響が大きい一方で、非OPEC諸国の生産量にも注意が必要な状況です。また、産油国周辺地域での戦争勃発など、政情の不安定化が原油価格に与える影響も小さくありません。

 売上コストの大半を原油価格が占めていることから、世界の需給動向等を受け、原油価格が変動することにより、当社グループのコストに大きな影響を与える可能性があります。

 また、当社グループでは原油在庫の価格を総平均法で評価しております。そのため、原油価格が下落した場合は、市況に比べ高いコストを負担することになる可能性があるなど、原油価格の変動により当社グループのコストが影響を受ける可能性があります。

 

(3)為替レートの変動

 当社グループは海外より原油を輸入しており、その原油代金は通常ドル建のため、為替相場の変動により差損益が生じます。当社グループでは、為替レートの変動による悪影響を最小限に止めるべく通貨ヘッジ取引を行っているものの、円安に推移すれば原油の調達コストを押し上げることとなるなど、為替レートの変動が当社グループのコストに影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)市況の影響

 上記の通り、当社の主要な石油製品のコストは、国際市況である原油価格や為替レートを反映した形で決定されるのに対し、販売活動は主に国内で行なっており、販売価格は国内市況を反映して決定されます。国際市況と国内市況とのギャップが生じた場合、或いはタイムラグが生じた場合、当社グループの収益に影響を与える可能性があります。

 

(5)金利の変動

 金利の変動により、今後借入金利が上昇した場合には借入コストの増加につながるなど、金利の変動によって、当社の借入金利に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)資産価値の変動

 経済状況等の影響から、土地や有価証券等、当社グループが保有する資産価値が下落することにより、評価損が発生する可能性があるなど、資産価値の変動によって、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(7)災害や事故による影響

 製油所では多量の可燃物を扱っていることから、特に人為的な操業事故や労働災害を未然に防止するため、様々な安全対策の徹底を図っております。しかしながら、地震などの自然災害等、何らかの要因により事故が発生いたしますと、操業を停止せざるを得なくなる可能性があります。また、製油所以外でも、油槽所やSS、タンカーやローリー等による予期せぬ事故の発生により、当社グループの業績が悪影響を受ける可能性があります。

(8)個人情報の管理

 顧客の個人情報の管理・取扱いにつきましては、社内規程等を整備し、細心の注意を図っておりますが、何らかの要因によりそれらの個人情報が漏洩した場合には、お客様からの信頼を失うとともに、ブランドイメージの低下を招くなど、当社グループの販売規模や業績に悪影響を及ぼす可能性があります。